最終更新日時:2026.03.16 (公開日:2026.03.16)

WAFとは?従来のファイアウォールとの違いについても詳しく解説

近年、企業を狙うサイバー攻撃は規模を問わず増え続けており、攻撃手法も複雑化しています。特にWebアプリケーションへの攻撃が増加しており、従来型のファイアウォールでは防げないケースも見られます。そのため、追加の対策が必須です。

WAFはWebサイトを含むWebアプリケーションへの不正アクセスを防ぐ仕組みです。本記事では、この対策が求められる理由や、ファイアウォールやIPS(IDS)といった従来のセキュリティ製品との違いについて解説します。

WAFとは何か?

WAFは「Web Application Firewall」の略であり、Webアプリケーションを狙った攻撃からサイトやサーバーを守るための防御システムです。

近年は、Webアプリケーションが位置するアプリケーション層を対象とした攻撃が多く発生しています。

アプリケーション層には、ユーザーのログイン情報や個人情報など、攻撃者にとって価値の高い情報が多く含まれており、攻撃に成功した場合の利益が大きいことが狙われやすい理由です。

IPAが公表した「ソフトウェア等の脆弱性関連情報に関する届出状況[2025年第4四半期(10月~12月)」によると、2004年の届出受付開始以降、ソフトウェア製品よりもWebサイトに関する届出が多いと報告されています。この報告はあくまで攻撃を受けた回数ではなく、存在していた脆弱性の報告ですが、Webサイトには脆弱性が多く存在しています。こうした背景から、アプリケーション層を守る手段としてWAFが重要視され、様々なタイプのWAFが提供されています。

従来型のゲートウェイセキュリティ対策製品との違い

近年はアプリケーション層を狙うサイバー攻撃が増えていますが、従来型のファイアウォールでは対応できないケースが多く存在します。

IPSを含む従来のゲートウェイセキュリティ対策製品は、ネットワーク層やOSレベルの攻撃を主な対象とし、送信元や送信先、使用されるIPアドレスポート番号などを基準に、通信を許可または拒否します。しかし、通信内容を精密に判断する仕組みがないため、正常な通信に見える攻撃を見抜けません。

多くの攻撃は、正規プロトコルであるhttpやhttpsを利用して行われます。SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などは、表面上は正常な通信として扱われやすく、従来のファイアウォールでは検知できない点が問題となります。さらに、例えばHTTPリクエストの内容やパラメータの構造、アクセス頻度や遷移順序などの通信のふるまいを細かく分析する機能を備えていないため、高度な攻撃への対応が十分ではありません。

このような背景から、アプリケーション層を狙う攻撃に対応するためにWAFが重要な役割を果たします。

WAFの種類

WAFは以下の3種類に分類できます。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを紹介していきます。

①ソフトウェア型WAF

ソフトウェア型WAFとは、Webサーバー上にインストールして利用するタイプのWAFです。専用機器やクラウドサービスを用いず、Webサーバー内で動作する点が特徴です。

ソフトウェア型WAFのメリット

  • 専用ハードウェアを必要としないため、小規模な環境では導入コストを抑えやすい点が利点です。さらに、Webサーバーと密接に連携できるため、細かな設定を行いやすく、高い柔軟性を発揮します。

ソフトウェア型WAFのデメリット

  • WebサーバーのCPUやメモリを消費するため、アクセス量が多いサイトでは処理性能に影響が出る可能性があります。規模が大きい環境では利点が薄れやすい点も課題です。また、設定や運用を利用者が担う必要があるため、管理の負担が増える場合があります。

②アプライアンス型WAF

アプライアンス型WAFとは、専用のハードウェア機器として設置して利用するWAFです。

アプライアンス型WAFのメリット

  • 専用ハードウェアを用いることで、アクセス量が多いサイトや検査項目が多い通信でも安定した処理を行えます。エンタープライズ向けの製品が多く、アプリケーション層を深く理解した検査、暗号化通信の可視化、不正ボットや高度化する攻撃への対応など高度なセキュリティ機能を備えている点も特徴です。また、専用機として提供されるため、ベンダーからのサポートを受けやすい利点があります。

アプライアンス型WAFのデメリット

  • 専用機器であることから、導入にかかる費用が高くなりやすい傾向があります。運用変更が必要になった際にも、追加のコストや作業工数が発生する場合があります。さらに、オンプレミス環境を前提とした方式のため、クラウド主体の環境では十分な利点を得にくいことがあります。

③クラウド型WAF

クラウド型WAFとは、クラウドサービスとして提供されるWAFです。

クラウド型WAFのメリット

  • 導入が容易で、DNSあるいはロードバランサーやCDNなどの経路設定を変更するだけで利用を開始できます。機器の設置や大がかりなネットワーク改修が不要な点が大きな利点です。クラウド基盤を利用することで、大量のトラフィックにも対応しやすく、大規模DDoS攻撃にも耐性を発揮します。物理機器を導入しない分、初期費用を抑えやすく、AWSやAzureなどのクラウドサービスとの組み合わせにも適しています。

クラウド型WAFのデメリット

  • ソフトウェア型やアプライアンス型ほど細かいルール調整ができないサービスも存在し、特殊な要件に対応しにくいケースがあります。クラウド側の仕様変更が運用に影響する可能性がある点にも注意が必要です。また、通信がクラウドを経由するため、クラウド事業者などの外部サービスの障害によって影響を受ける場合があります。

さらに、通信ログやデータを外部のクラウドで扱うため、自社のデータポリシーとの整合性を確認することが欠かせません。

WAF導入のメリット

WAFは、一般的なファイアウォールでは防ぎにくいSQLインジェクションなどのアプリケーション層攻撃を遮断し、WebサイトやWebサービスを守る防御機能となります。ボットによる自動攻撃やスキャン、ログイン試行のような大量のアクセスを効率よくブロックできるため、WebサイトやWebサービスの負荷軽減につながります。

さらに、WAFは攻撃ログを詳細に記録します。攻撃の種類、対象となった脆弱性、送信元のIPなどを把握しやすく、異常の早期発見や原因分析、改善策の検討に役立ちます。例えば、個人情報保護法においては、個人情報を入力・送信する機能がある外部公開サイトに求められる技術的な安全管理措置要件も満たします。

特にクラウド型WAFでは、パッチ適用などの運用をサービス提供側が担うため、管理者の負担が大きく減少します。

一方、外部公開サイトで利用しているフレームワークやソフトウェアに脆弱性が発見された場合、修正版の入手やパッチの適用、バックアップの作成、テスト環境での動作確認などが必要で、迅速かつ適切な対応が難しい場合もあります。

そのような場面では、WAFを併用して脆弱性を悪用する攻撃を遮断することで、修正作業を進めながら現実的かつ効果的にリスクを低減できます。

まとめ

本記事では、WAF導入のメリットや従来型のファイアウォールとの違いについて解説しました。

WAFを導入することで、Webアプリケーションを狙う攻撃を入口で遮断し、インシデントの発生を抑えられます。脆弱性対策やリスク低減、運用負荷の軽減にもつながる点が大きなメリットです。

WAFには複数のタイプがあり、自社に適したタイプを選ぶためには、まず現在の状況を正確に把握する必要があります。保護対象となるWebサイトの特性、想定される脅威、許容できるコスト、運用体制を整理し、どの要素を優先するのかを明確にすることが重要です。

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