最終更新日時:2026.06.11 (公開日:2023.03.16)

サイバー攻撃を受けた場合どうする?被害事例や対策をわかりやすく解説

サイバー攻撃が日常化する現代、特に中小企業がその標的となるケースが増えています。もし「サイバー攻撃を受けた場合」、どのような被害が生じ、どのように対策を講じるべきかを知っておくことは非常に重要です。

本記事では、サイバー攻撃の実態や最近の動向から、被害を受けた場合に想定されるリスク、そして被害を防ぐための具体的な対策について解説します。

被害を防ぐためには、攻撃手法やリスクを正しく理解し、実際に攻撃を受けた場合を想定した継続的な対策を行うことが重要です。

サイバー攻撃とは

サイバー攻撃とは、第三者がネットワークやシステムへ不正に侵入し、情報窃取やサービス停止などを引き起こす行為です。

近年では、大企業だけでなく中小企業や個人事業主も攻撃対象となっており、「自社は狙われない」とは言えない状況になっています。実際に、メールの添付ファイルを開いたことをきっかけにランサムウェアへ感染し、業務停止や情報漏えいにつながるケースも少なくありません。

サイバー攻撃の目的は、金銭の要求や機密情報の窃取だけではなく、愉快犯による嫌がらせや、技術力を誇示するための攻撃などさまざまです。また、特定の企業を狙うケースだけでなく、不特定多数へ無差別に攻撃を行うケースもあります。

このような背景から、企業規模や業種を問わず、サイバー攻撃への対策を実施することが重要です。

本記事では、特に企業で広く利用されているWebサービスへの攻撃を中心に、攻撃手法や被害、対策について解説します。

最近のサイバー攻撃の動向

近年のサイバー攻撃は、単なる無差別攻撃ではなく、企業や組織を狙った巧妙な攻撃へと変化しています。

実際に、IPA(情報処理推進機構)が公表した「情報セキュリティ10大脅威 2025」では、「ランサム攻撃による被害」が組織向け脅威の1位となっており、依然として深刻な被害が続いていることが分かります。さらに、「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」や「システムの脆弱性を突いた攻撃」も上位に挙げられており、自社だけではなく関連企業を含めた対策の重要性が高まっています。

また、「リモートワーク等の環境や仕組みを狙った攻撃」も継続してランクインしており、VPN機器やクラウドサービスなど、外部公開システムを狙った攻撃が引き続き増加している状況です。脆弱性が放置されたシステムを侵入口として悪用されるケースも多く、継続的な脆弱性管理が求められています。

さらに2025年版では、「地政学的リスクに起因するサイバー攻撃」が初めて選出されました。これは、国家の関与が疑われる高度なサイバー攻撃への警戒が高まっていることを示しており、従来以上にサイバーセキュリティ対策の重要性が増していると言えます。

このように、近年のサイバー攻撃は高度化・多様化が進んでおり、「自社は狙われない」という考え方ではなく、攻撃を受けることを前提とした対策が重要になっています。

参考:IPA「情報セキュリティ10大脅威 2026」

なぜ中小企業も狙われるのか

「サイバー攻撃は大企業が狙われるもの」と考えられがちですが、近年では中小企業を標的とした攻撃も増加しています。

その背景の一つとして、攻撃者による無差別型の攻撃が増えていることが挙げられます。攻撃者は特定の企業だけを狙うのではなく、インターネット上へ公開されているシステムや、脆弱性が残った機器を自動的に探索し、攻撃を行っています。そのため、企業規模に関係なく、脆弱性が存在するシステムは攻撃対象となる可能性があります。

また、中小企業は大企業と比較してセキュリティ対策に十分なコストや人員を割けないケースも多く、攻撃者から「侵入しやすい対象」とみなされることがあります。

さらに近年では、取引先や関連会社を経由して本来の標的へ侵入する「サプライチェーン攻撃」も問題となっています。例えば、大企業と取引のある中小企業が侵害され、その企業を踏み台として攻撃が拡大するケースもあります。

実際に、IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威 2025」でも、「サプライチェーンや委託先を狙った攻撃」が組織向け脅威として挙げられており、企業規模を問わず対策の重要性が高まっています。

このように、現在のサイバー攻撃は「狙われる企業」と「狙われない企業」が明確に分かれているわけではありません。中小企業においても、「自社は大丈夫」と考えるのではなく、攻撃を受ける可能性を前提とした対策が重要になっています。

関連記事:サプライチェーンセキュリティの重要性とは?被害事例や対策方法も紹介

主なサイバー攻撃の種類

一口にサイバー攻撃といっても、その手法や侵入口は多岐にわたります。本記事では、代表的な攻撃を「社内利用者を狙った攻撃」と「外部公開システムを狙った攻撃」に分けて解説します。

社内利用者を狙った攻撃(メール・社内端末への攻撃)

社内利用者を狙った攻撃は、メールやチャットなどを通じて行われることが多く、利用者が不審なリンクをクリックしたり、添付ファイルを開いたりすることで被害につながります。

特に近年は、実在する企業や取引先を装った巧妙なメールも増えており、一見しただけでは不正メールと判断できないケースもあります。

代表的な攻撃手法としては、以下が挙げられます。

  • フィッシング:正規サービスを装ったメールやWebサイトへ誘導し、ID・パスワードやクレジットカード情報などを盗み取る攻撃
  • ランサムウェア:PCやサーバ内のデータを暗号化し、復旧と引き換えに身代金を要求する攻撃
  • マルウェア感染:悪意あるプログラムを端末へ侵入させ、情報窃取や遠隔操作などを行う攻撃

このような攻撃は、「人の操作」をきっかけに被害が発生するケースが多いため、メール対策や従業員教育が重要になります。

外部公開システムへの攻撃(Webサーバ・VPN機器など)

外部公開されているWebサーバやVPN機器、クラウドサービスなどは、インターネット経由で常に攻撃対象となります。

特に、脆弱性が放置されたシステムは攻撃者に狙われやすく、不正侵入や情報漏えい、サービス停止などの被害につながる可能性があります。

代表的な攻撃手法としては、以下が挙げられます。

  • クロスサイトスクリプティング(XSS):Webサイトへ悪意あるスクリプトを埋め込み、利用者の情報を盗み取る攻撃
  • SQLインジェクション:Webアプリケーションの脆弱性を悪用し、データベースを不正操作する攻撃
  • DDoS攻撃:大量の通信を送りつけ、Webサービスやサーバを停止状態へ追い込む攻撃
  • ゼロデイ攻撃:修正プログラムが公開される前の脆弱性を悪用する攻撃

このように、外部公開されているシステムは常に攻撃対象となっており、WebサーバやVPN機器、各種クラウドサービスなど幅広い対象が狙われています。

実際に、国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICT)が公開した「NICTER観測レポート2025」でも、Telnet、SSH、HTTP/HTTPS、Redis、Docker API など、さまざまな外部公開サービスに対する継続的な探索・攻撃が確認されています。

このことからも、インターネットへ公開されているシステムは企業規模を問わず攻撃対象となる可能性があり、継続的な脆弱性管理や監視が重要であることが分かります。

参考:NICT「NICTER観測レポート2025」

サイバー攻撃を受けた場合に起こる被害

本章では、外部公開環境の中でも、多くの企業で利用されているWebサービス(HTTP/HTTPS)に焦点を当て、サイバー攻撃を受けた場合に発生する被害や、企業が取るべき具体的な対策について解説します。

サイバー攻撃を受けた場合、情報漏えいやデータ改ざん、サービス停止など、事業活動へ深刻な影響を及ぼす可能性があります。

例えば、WebサイトやWebサービスが攻撃を受けた場合、以下のような被害が発生することがあります。

  • 顧客情報や機密情報の漏えい
  • Webサイト改ざんによる信用低下
  • ランサムウェア感染による業務停止
  • 不正アクセスによるシステム障害
  • サービス停止による機会損失
  • 被害調査や復旧対応による多額のコスト発生

また、被害はシステム障害だけに留まりません。情報漏えいが発生した場合には、顧客や取引先への対応、監督官庁への報告、損害賠償などが必要となるケースもあり、企業の社会的信用低下につながる可能性があります。

特に近年では、サプライチェーンを狙った攻撃も増加しており、自社だけでなく取引先へ被害が拡大するリスクも無視できません。

このような被害は、決して一部の大企業だけで発生しているものではありません。実際に、さまざまな業種・規模の企業でサイバー攻撃による被害が報告されています。

実際の被害事例

実際に、多くのサイバー攻撃はWebアプリケーションの脆弱性を狙って行われています。では、現実にはどの程度のWebサービスで脆弱性が残存しているのでしょうか。

一般社団法人 JPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)が公開した「JPCERT/CC インシデント報告対応レポート[2025年1月1日~2025年3月31日]」によると、2025年第1四半期だけでも10,102件のインシデント報告が寄せられています。

報告されたインシデントでは、フィッシングサイトや脆弱性探索を目的としたスキャンなどが多く確認されており、企業規模を問わず、継続的にサイバー攻撃のリスクにさらされている状況が分かります。

これらのコンピュータセキュリティインシデント全てが、Webサーバへの攻撃ではありません。しかし、業種を問わず多くの組織が運用しているWebサーバへの攻撃対策は、組織共通の課題と考えて良いのではないでしょうか。

Webサーバのリスク低減対策としてはアプリケーションの開発段階でおける、セキュアコーディング等により脆弱性を作りこまないことが重要です。しかし、開発の規模に応じて対応しきれないリスクが残ってしまうのも事実です。

参考:JPCERT/CC 「インシデント報告対応レポート[2025年1月1日~2025年3月31日]」

Webサービスに潜む脆弱性の実態

弊社が実施したWebアプリケーション脆弱性診断結果の最新の集計結果から、脆弱性が残った状態で運用されているWebサーバがあることがわかります。

弊社の脆弱性診断サービスでは、実現可能性と被害影響の大きさからリスクをHigh/Medium/Lowの3段階に分別し、検出傾向によりサイトの総合的な危険度を評価しています。危険度評価は以下の表の通りです。

総合危険度評価の集計結果は、以下のグラフの通りです。

調査対象の過半数となる52%で、顧客に被害が及ぶシステムの脆弱性が検出されました。これは 2サイトの内、およそ1サイトに危険な兆候が見つかったことになります。また、危険度Low まで含めると何らかの脆弱性が見つかったサイトは全体の94%にもなりました。

では実際にどのような脆弱性が検出されているのでしょうか。集計した結果は、以下のグラフの通りです。

サイバー攻撃で狙われることも多いインジェクション(XSSも含む)は上位3位以内に入ってきているのが現状です。いずれも既知の脆弱性であるにも関わらず検出されていることから、脆弱性が存在することを前提とした継続的なモニタリング等の対策が重要であると考えられます。

サイバー攻撃を防ぐための対策

ここまで解説してきたように、サイバー攻撃は企業規模を問わず発生しており、外部公開システムや社内利用者を狙ったさまざまな攻撃が日々行われています。

サイバー攻撃による被害を防ぐためには、単一の対策だけではなく、複数のセキュリティ対策を組み合わせて実施することが重要です。

特に、Webサービスを運用する企業では、以下のような対策が有効とされています。

セキュアコーディングを実施する

Webアプリケーションの脆弱性を減らすためには、開発段階からセキュリティを考慮した「セキュアコーディング」を行うことが重要です。

SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)など、多くのサイバー攻撃はアプリケーションの実装不備を悪用して行われます。そのため、入力値チェックや適切なエスケープ処理など、基本的なセキュリティ対策を開発段階から実施する必要があります。

脆弱性診断を定期的に実施する

システムを安全に運用するためには、リリース前だけでなく、運用中も継続的に脆弱性診断を実施することが重要です。

実際に、脆弱性が残った状態でWebサービスが公開されているケースも多く、攻撃者はそれらの脆弱性を狙って継続的に探索活動を行っています。

特に、Webサイトの改修や機能追加を行った際には、新たな脆弱性が発生していないか確認することが重要です。

OS・ソフトウェアを最新状態に保つ

OSやミドルウェア、VPN機器などに存在する既知の脆弱性は、サイバー攻撃で悪用される代表的な侵入口の一つです。

そのため、セキュリティパッチやアップデートを適切に適用し、脆弱性を放置しない運用体制が求められます。

特に、サポートが終了したソフトウェアや機器を継続利用することは、大きなセキュリティリスクにつながる可能性があります。

従業員へのセキュリティ教育を行う

フィッシングメールやマルウェア感染など、人の操作をきっかけとしたサイバー攻撃も依然として多く確認されています。

そのため、不審なメールを開かない、安易に添付ファイルを実行しないなど、基本的なセキュリティリテラシーを社内で共有することも重要です。

また、標的型攻撃メール訓練などを定期的に実施することで、従業員のセキュリティ意識向上につながります。

WAFなどのセキュリティ製品を活用する

Webサービスを狙った攻撃への対策としては、WAF(Web Application Firewall)の導入も有効です。

WAFは、Webアプリケーションへの通信を監視し、不正なアクセスや攻撃通信を検知・遮断するセキュリティ対策です。

脆弱性が完全に解消されるまでの間に攻撃を防ぐ「仮想パッチ」として活用できるケースもあり、継続的なWebセキュリティ対策として重要な役割を担います。

このように、サイバー攻撃対策では、「開発」「運用」「監視」「教育」など、複数の観点から継続的に対策を行うことが重要です。

サイバー攻撃を受けた場合の初動対応

サイバー攻撃による被害を最小限に抑えるためには、攻撃を受けた直後の「初動対応」が非常に重要です。

初動対応が遅れると、被害範囲の拡大や情報漏えいの深刻化につながる可能性があります。そのため、あらかじめ対応手順を整理し、迅速に行動できる体制を整えておくことが重要です。

ネットワークから隔離する

マルウェア感染や不正アクセスが疑われる場合は、まず対象端末やサーバをネットワークから切り離し、被害拡大を防止します。

特にランサムウェアは、社内ネットワークを通じて感染が拡大するケースもあるため、初期対応の遅れが大規模被害につながる可能性があります。

被害状況を確認する

次に、どのシステムや端末が影響を受けているのかを確認します。

  • どのサーバが侵害されたのか
  • 情報漏えいの可能性はあるか
  • サービス停止が発生しているか
  • 他システムへ影響が拡大していないか

など、被害範囲を把握することが重要です。

ログや証拠を保全する

調査や原因分析を行うためには、アクセスログやシステムログなどの証拠を適切に保全する必要があります。

ログが失われると、侵入経路や攻撃手法の特定が困難になるだけでなく、再発防止策の検討にも支障が生じます。

また、端末の再起動やログ削除を安易に行うと、重要な調査情報が消失する可能性があるため注意が必要です。

社内共有・関係各所への連絡を行う

被害が確認された場合は、情報システム部門や経営層など、関係者へ速やかに共有を行います。

また、被害内容によっては、取引先や利用者への連絡、監督官庁への報告などが必要になるケースもあります。

特に個人情報漏えいの可能性がある場合は、法令やガイドラインに基づいた適切な対応が求められます。

専門会社へ相談する

被害状況の調査や復旧対応には、高度な専門知識が必要となるケースも少なくありません。

そのため、自社のみで対応が難しい場合は、セキュリティベンダーやインシデント対応の専門会社へ早期に相談することも重要です。

初動対応の段階で適切な支援を受けることで、被害拡大の防止や早期復旧につながる可能性があります。

このように、サイバー攻撃を受けた場合は、「迅速な隔離」「被害状況の把握」「証拠保全」を中心に、落ち着いて対応を進めることが重要です。

まとめ

近年のサイバー攻撃は高度化・多様化しており、企業規模を問わず被害が発生しています。特にWebサービスはインターネット上へ公開されている性質上、常に攻撃対象となる可能性があります。

そのため、セキュアコーディングや脆弱性診断、WAFの活用、継続的な監視など、複数の対策を組み合わせた多層防御が重要です。

また、万が一サイバー攻撃を受けた場合に備え、初動対応の手順を事前に整理しておくことも、被害拡大防止につながります。

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