最終更新日時:2024.04.01 (公開日:2023.12.08)

脆弱性にまつわるデメリットは何か、をメリットとともに考える

脆弱性診断をシステムに対して実施すると、普段の利用では気づきにくいセキュリティ上の弱点について、被害を受ける前の段階で明らかにできるというメリットがあります。運用中または開発中のシステムにセキュリティ対策をほどこす場合に、脆弱性診断の実施は対策の方針を検討するための大きな足掛かりになるでしょう。メリットが多いように感じる脆弱性診断ですが、デメリットも少なからず存在します。本記事では、脆弱性診断がもたらすメリットとデメリットに注目して解説していきます。 

脆弱性を放置していてもメリットはない

脆弱性とはセキュリティ的な観点からシステムを評価した場合の欠陥です。脆弱性を放置しておくとサイバー攻撃の格好の標的となります。システムが一見不具合等がなく正常に稼働しているように見えても油断はできません。このブログをご覧になっているみなさまの会社のシステムにひっそりと潜む脆弱性であっても知らないうちにサイバー攻撃のターゲットとなり、顧客情報などの重要なデータが漏洩するといった事故の要因となりうるのです。 

また、脆弱性対策をひとまず実施したとしても対策はそこで終わりではありません。システムを取りまくIT技術とサイバー攻撃の進化に適応した状態に、アップデートしていく必要があります。 

運用中・開発中であるシステムで重大事故が発生する前に、先手を打って脆弱性対策を講じていくのが重要です。しかし、ひとくちに脆弱性対策といっても「何から手を付けていいかわからない」という方も多いと思います。そこで、対策の方針決定に有効な脆弱性診断について説明していきます。

脆弱性診断のメリット

インターネット上に存在するシステムに対しては、程度の差はあっても何らかのサイバー攻撃が仕掛けられています。一方で、実際に受けているサイバー攻撃を正しく検知して対策を行うのは、専門的な知識やツールがないと難しいイメージをお持ちの方も多いと思います。 

そこで、脆弱性診断サービスのメリットをご紹介させていただきます。 

脆弱性診断とは、システムが使用するOS/ミドルウェア/ライブラリにおいて既知の脆弱性に対する修正がまだ施されていない古いバージョンを使用していないか確認したり、システムに対して疑似的なサイバー攻撃プログラムを実行したりするなどして、システム上のセキュリティの欠陥を見つけ出すために行われる作業を指します。 

専門性が必要となるこの脆弱性診断を、知見が豊富な企業へアウトソーシングしたり専用のツールで代用したりすることで、たとえシステムの運用担当者がセキュリティに対する十分な知識が無かったとしても、脆弱性の発見が可能となります。診断結果レポートには脆弱性の箇所とその対応策が記載された状態で運用担当者のもとに届きます。運用担当者は、診断結果レポートを見て対応策を検討すればよいのです。 

脆弱性診断の実施によって当該システムの弱点を把握し、その弱点に対して適切な対策を施すことによって、サイバー攻撃のリスクをかなり軽減できます。お客様が安心してご利用頂けるシステムを提供できれば、企業やブランドに対する信頼性の維持あるいは向上につながる大きなメリットとなるでしょう。 

脆弱性診断のデメリット

脆弱性診断は、セキュリティ上の弱点を発見するための対策でありメリットばかりに目が行きがちですが、デメリットも存在します。代表的なデメリットを3点ご紹介します。 

その1:脆弱性診断の実施には時間とコストがかかる 

作業の性質上、脆弱性診断は多くの時間やコストを必要とします。システムの規模にもよりますが、規模が大きくなればなるほど診断を行うための調査や診断実行に時間とコストがかかる場合が懸念されます。脆弱性診断の結果をもとにした診断結果レポートの作成に要する時間が大きくなってしまう場合もあるでしょう。 

その2:診断結果にもとづく修正対応に時間とコストがかかる 

診断結果レポートにおいて指摘された箇所へ対策を施すためにシステムの仕様変更や機能追加などを行う際にも、大規模なコストと時間が必要になるケースがあります。また脆弱性診断で指摘された箇所にセキュリティ対策を施したために、システムの本来の性能が損なわれる事態に陥らないようにしなければなりません。診断対象のシステムの要件や特性について事前に正しく把握しておくことが大切です。 

システムの保守あるいは運用をしながら診断結果への対策を同時に進めていくのは大きな負荷となる恐れがあります。 

その3:診断結果で報告された脆弱性が妥当であるかの判断が必要 

脆弱性診断実施の過程でツールやプログラムなどを使用する場合があります。これらはまだ万能とは言えず、その誤検知によって本来脆弱性ではないものが脆弱性として報告される可能性があります。診断結果レポートの報告内容を吟味して、脆弱性として報告されている箇所は本当に対処が必要なものかを判断する必要が求められます。 

専門のエンジニアが結果を精査した上でレポーティングするような脆弱性診断サービスであれば話は変わってくるため、サービス内容を事前に確認しておいた方が良いでしょう。 

また、このような点に留意して脆弱性診断結果レポートをもとにセキュリティ対策を実施できたとしても、それは脆弱性診断を実施する時点におけるベストプラクティスにのっとった対策にすぎません。まだ世の中に知れ渡っていない未知の脆弱性や新しいサイバー攻撃の手法などが登場した場合には、それまでに実施していたセキュリティ対策とは別の対策を迫られる可能性があります。時間やコストの他に人的リソースといった都合も考慮して、脆弱性診断の対象を限定したり実施タイミングを調整したりしながら対策のスケジュールを検討していく必要があります。 

まとめ

脆弱性診断を実施しようとすると、なかなかハードルが高いと感じる方も多いと思います。脆弱性診断サービスを活用すると、セキュリティ関連の知識を十分に持ち合わせていなくてもシステムの脆弱性を顕在化あるいはその評価が可能になります。 

ただし、脆弱性診断で得られる結果はシステムのセキュリティ欠陥が疑われる箇所についての指摘であり、場合によっては誤検知と呼ばれるように残念ながら判定を誤ってしまうことも考えられます。特にツールを使用した診断の場合において発生しやすく、必要に応じてセキュリティの専門家へ相談しながら実際のサイバー攻撃への対応方針や優先順位決めを行っていくこともおすすめです。 

また、サイバー攻撃に対してシステムがどの程度耐えられるか、という観点ではペネトレーションテストという疑似的なサイバー攻撃を試みる調査方法もあります。ペネトレーションテストの詳細については本記事では割愛しますが、脆弱性診断と組み合わせるとよりシステムの欠陥が明確になるため、適切な対策を施すことできっとみなさんのシステムのセキュリティ強化に役立つでしょう。 

セキュリティ対策は一度やったら終わりではありません。変化し続けていくサイバー攻撃や脆弱性に対してセキュアなシステムを維持していくことが求められます。継続的なセキュリティ対策の実現のため、脆弱性診断の活用を検討してみてはいかがでしょうか。 

当サイトではWebサイト、モバイル端末、IoT機器が抱える脆弱性によるリスクへの対策を検討している方や、サイバー攻撃の脅威から守るWAFに興味がある方へ、ダウンロード資料をご用意しております。ぜひ資料をダウンロードいただき、ご活用ください。 

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